『聖書を「正しく」読むために』?

そろそろ諸事情で必要に迫られてきているので、買ったものの中途半端にしか読んでいなかった、G.D.フィー『新約聖書の釈義 本文の読み方から説教まで』(教文館)を読み始めました。

この本の最後の方にある膨大な文献紹介で、フィーは自分の『How to Read the Bible for All Its Worth』も手前味噌に載せていて、解釈学的な問題を取り扱っていると書いてあったので欲しくなりました。

この本は和訳があるのですが(和訳の存在自体は発売前にいのちのことば社のTwitterで知りました)、邦題が『聖書を正しく読むために「総論」―聖書解釈学入門』なのです。直訳したら明らかに日本語としてぎこちなく、どう訳すか難しいですが、原題には「正しく」などという箇所はありません。

いかにも原理主義的な人たち(ファンダメンタリスト)が好みそうな題ですが、フィーは決してファンダメンタリストではない、学術的研究を行っている聖書学者であって、私が持っている本を少しでもめくれば、むしろ安易に「正しい」聖書の読み方などがあると信じている人は、そんなものが存在し得ないということに打ちのめされるでしょう。(明らかに誤った読み方なら存在するでしょうけど)

実際にこの本を買った人が感想を書いたページを見つけて読んでみたところ、やはり内容は「『正しく』読む」などという邦題からかけ離れた内容だということがわかりました。当然でしょう。どういう内容かよくわかる素晴らしい紹介文です。
http://takapan.web.fc2.com/hon/h_Bibletadasiku1.html

こんな邦題をつけたのは、いのちのことば社の編集者か訳者かわかりませんが、自分たちの偏狭な党派心から原著者を愚弄する下劣な仕事だと思います。この訳者と監修者、調べてみたところ、やはりファンダメンタルな傾向を持つ教派の信徒説教者と神学校教師だそうで、神学的、特に聖書学的な素養があるとは思えないような人です。なぜこんな人に訳させたのでしょうか。そもそも、なぜいのちのことば社が翻訳出版に着手したのかが残念でなりません。私の持っている本と同じく、教文館あたりで出して欲しかったです。
邦題がこれでは本文の翻訳の質も歪められていないか心配ですので、買うとしたら英語の勉強がてら原著を買うことにします。いのちのことば社の邦訳は3672円もしますが(高いですがこれはページ数を考えるとやむを得ないか)、原著は古い本だからか、Kindle版ならわずか810円、ペーパーバック版でも2400円ほどです。

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