京都北山マールブランシュの由来の謎

北山駅の近く、北山通沿いに、マールブランシュという洋菓子屋さんの本店があります。京都に来るまで聞いたことがなかったのですが、全国的に有名な店だそうです。
先日、そこでお菓子を買って、発送手続きをしてもらっている間、店員の男性に、「マールブランシュ」というお店の名前の由来を尋ねてみました。すると、「マールブランシュというフランスの哲学者に由来している」という答えが返ってきました。少し西洋思想をかじった人間としては、マールブランシュといえば、確かにそのマールブランシュがまっ先に思い浮かびますが、なぜお菓子屋さんと結びつくのかがわかりません。「どういうつながりがあるのですか?」とさらに聞いてみたら、「つながりがあるというわけではないが、愛を説いた哲学者としてマールブランシュの名前を使っている」などと言っていました。

マールブランシュというのは、哲学史上でも、デカルトや下で述べるスピノザらの影に隠れてあまり注目されていない人物で、たいていの哲学史のテキストでも、デカルトが大きな問題提起した精神と肉体の関係について、「機会原因論」を唱えたとして触れられるくらいです。名前の響きはいかにもフランスっぽいですが、どちらかといえばマイナーな人なのです。従業員はマールブランシュが「愛を説いた」と言っていましたが、その出典や内容もわかりません。調べようと思っても、マールブランシュの邦訳はデカルトらに比べて限られています。洋菓子店のマールブランシュができた時点でならなおのことです。

愛といえば、むしろ、同時代で「愛」を説いたことで有名なのはオランダ人のスピノザです。もっとも、スピノザの述べる愛は、一般的にイメージする愛とはかなりかけ離れたものですが。もしかすると、スピノザと勘違いしていたり、噂を聞きかじって、名前の響きだけで名づけたということも考えられますが(マールブランシュは1982年にできたとのことですが、当時は日本で「ニューアカ」ブームで、当時存命のフランス人哲学者ドゥルーズのスピノザ解釈が取り上げられていたのであり得る話です)、実際にマールブランシュの思想の内容まで知った上で名づけたのだとしたら、知名度や邦訳文献が乏しいことを考えると、マールブランシュの経営者はよほどフランス思想に詳しかったり、フランス語の原文を読めるような人なのかもしれません。

暇があれば調べてみようと思いますが、マールブランシュの思想に詳しい方がいらっしゃったら教えていただきたいです。

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