「ポケモンNG」の教会と関係があり、まとめブログからツイートしたいのちのことば社社員
キリスト教系、特に、「聖書には一字一句誤りがない」という福音派系(ファンダメンタリスト、原理主義的傾向)の出版社の大手にいのちのことば社というのがありまして、「ことはちゃん」というマスコットキャラクターがいます。いのちのことば社はその、ことはちゃん名義でツイッターやっているのですが、目を疑うようなツイートをしていました。
ことはの母教会ではポケモンはNG(進化論等の問題)でしたが、いろいろな見解があるんですね~!
「ポケモンのミュウツーはキリスト教徒の模範」イングランド国教会がべた褒めwwwww:ユルクヤル、外国人から見た世界 https://t.co/QQsSHGjaT1
— ことはちゃん(いのちのことば社) (@kotobasha) 2016, 1月 12
ことはの母教会ではポケモンはNG(進化論等の問題)でしたが、いろいろな見解があるんですね~! 「ポケモンのミュウツーはキリスト教徒の模範」イングランド国教会がべた褒めwwwww:ユルクヤル、外国人から見た世界
母教会というのは大抵の場合、洗礼を受けた教会をさします。ことはちゃん(といっても中の人はいい年のしがない社員でしょうが)がまだその教会と接点があるのかは知りませんが、「進化」することが理由にポケモンを禁止するなどなんという迷信的で器の小さい教会なんでしょうか。(「進化論等」と書いてあるので他にも理由があるかもしれませんがろくなものではないでしょう)
キリスト教徒でない方は驚かれるかもしれませんが、福音派系の教会には、神の天地創造に反するからといって実際に進化論を目の敵にするところがよくあるのです。アメリカでは実際に公教育で進化論を教えるなと裁判までになったことがよく知られていますが、そういう馬鹿げたことをとりあげて問題にするのはなにもアメリカに限ったことではなく日本でも存在します。私もかつて、そういう教会に所属する国立大学の学生と話したとき、彼女は「自分は進化論を信じていない」と堂々と公言していました。
聖書は自然法則を説明したテキストではなく、神と人間についての宗教的な教説を伝えるために書かれたのですから、生物学的に進化論がなにを言おうが目くじらを立てる必要はありません。(旧約聖書「創世記」の創造論だって、それ以前からあったいろんな神話を題材にして書かれたものですし、なんていったら福音派の人は拒絶反応を示すでしょうが)
人間が猿から進化していたとしたら台無しになる程度の信仰ならとっとと棄ててしまえばよろしい。
しかも、子どもの頃からポケモンは初代からほとんどやってきて、またそれなりに信念を持ってキリスト教徒をやっている私からしますと、やってみればわかりますが、ポケモンの「進化」は、実際には生物学的には進化というよりは、芋虫が蛹になり、それを破って蝶になるというようなむしろ「変態」に近いものです。進化論嫌いのファンダメンタリストの目の敵にされる謂れは何もありません。単に進化と名がついていればなんでも気に入らないという狂信的な偏見だけでしょう。(過激なところなら「ポケモンはサタンの陰謀!」などと言い出してもおかしくない)
そもそも、他愛のない子どもの遊びにいちいち教会が制限、干渉すること自体がおかしい。カルト団体だとみなされても仕方ありません。
ことはちゃんのツイートに呆れた点はもう一つあります。今回取り上げたツイートは、捏造、デマの温床としてポケモンよりも何倍も低劣な、いわゆるまとめブログが出典なのです。本文では、イギリス国教会の一信者(といっても原文を見たところそれなりの立場にはあるようですが)が主張したに過ぎないのです。なにもイギリス国教会が教会を挙げて賛同したわけではありません。しかもこの記事、2000年、つまり今から16年の前のものです。こういう作為的な編集をするところに、このまとめブログの下劣さや、それを見て過剰反応する人たちの知的レベルが伺い知れます。(一応、英語の原記事にリンクしてあるだけまだマシといえるかもしれませんが)
「「ポケモンのミュウツーはキリスト教徒の模範」イングランド国教会がべた褒めwwwww」(2016年1月12日閲覧)
http://yurukuyaru.com/archives/52391928.html
「Biblical message found in Pokemon 」(2016年1月12日閲覧)
http://www.theguardian.com/uk/2000/jun/09/religion.world1
英語くらいちゃんと確認しろと言いたいです。ことはちゃんの中に何人の大人が入っているかは知りませんが、一人くらい英文が読める人はいるでしょう。
いくら保守的福音派とはいえ、キリスト教界で誰もが知っているといっても過言ではない、いのちのことば社の公式キャラクターが臆面もなくこんな発言をすることには開いた口が塞がりません。ある意味、典型的な福音派や、いのちのことば社の程度をよく表しているといえるかもしれませんが。そもそも私はことはちゃんのアカウントをフォローしていますが、それは別に有益な情報を期待しているからではなく、福音派を代表する出版社がおかしな発言をしないか監視するためというのが大きな理由です。
ところで、まだ私が入信していない頃、鹿児島にある、牧師一家が独裁的な権力を振るっている原理主義的な単立の教会に行ったとき、牧師の息子である副牧師(世襲!)の小さな子どもが、ポケモンの人形で遊んでいました。(確かBWの御三家だったような…)
察するに、単にどういうものか親がよくわかっていないから遊ばせていただけで、たぶんポケモンが「進化」するものだと知っていたら、ことはちゃんの母教会と同じように、教会に禁止令でも出していたんじゃないか、ああ恐ろしいし子どもはかわいそう、そんなことをふと考えました。