望郷
ふと鹿児島が恋しくなって物思いにふけっていた。鹿児島を訪れるまでの私の人生は本当に退屈極まりないものだった。空港に降り立った時、初めてあの街を歩いた時の感動は8年近く経った今でも色褪せることはない。たとえこんな箱庭でのままごと遊びに過ぎなかったとしても、私にとってはそれ以上の意味を持ってしまった。
帰りたいと思う。あの街で生きていけたらとも思う。仲間もいる。今からでも不可能なことではないだろう。しかし、今の自分にとって他の選択肢などあっただろうか。どう足掻こうとも不器用に、格好悪くしか生きられないのだ。それならば今は忍耐の時ではないか。