クリスマスの約束2013の感想
昨日の午後11時半から約2時間、小田和正が出演する「クリスマスの約束」が放映されました。この番組ももう10年以上続いていて、私は初期のものは見たことがないのですが、最初は小田さんと同じくらい著名な歌手に共演を頼むもすべて断られ、小田さんが一人で他の人の楽曲を歌い続けるという番組構成だったそうです。しかしやがて段々と若手アーティストを中心にゲストが集まるようになり、2009年には20分以上のメドレーを歌うまでになりました。
ただ、全く同じメンバーが続くことはないとはいえ、近年はゲストも構成も段々固定化されてきて、マンネリ化してきたように感じていました。2011年にもメドレーをやったときはさすがに「またか」、「前より長くなっただけじゃないか」と食傷気味になった、と以前のブログに書いたら、「なら見なければいいだろ」と匿名で罵倒コメントが投稿されました。(今後はそういうものは一切相手にせずに削除した上にアクセスブロックします。)そういうこともあった上、昨年は大学の卒業論文の執筆に追われていて他のことが考えられなかったこともありついに見ずじまいでした。
ですが今年のものは個人的にはここ数年の中では一番見応えがあったと感じました。今回の目玉はなんといっても吉田拓郎でしょう。かつてフォークブームを引っ張った超大物です。テレビをつけたらちょうど「今日までそして明日から」をデュエットしているところでした。「クレヨンしんちゃん」の映画「オトナ帝国の逆襲」のラストでも使われたことから、若い人でも聞いたことがある人は案外多い曲ではないでしょうか。2008年の小田さんのコンサートに行った時、どういう流れかは忘れましたがMCの途中で小田さんがこの曲の冒頭を歌ったのを聞いたことがありますが、まさか本家本元と歌うのを見られる日が来るとは思わず感慨深かったです。「今日まで~」の前は「落陽」や「リンゴ」も歌ったそうです。特に「落陽」は小田さんのイメージに全然合わないのでどんなデュエットになったのか見てみたかったです。
吉田拓郎が退場したあとは、スタレビの根本要、スキマスイッチの二人、いきものがかりの水野良樹と、皆何度か出演したことのある(もはや「おなじみの」と化した感のある)メンバーで、またそのうちの誰かの歌を歌うのだろうと思っていましたが、確かに後にスキマスイッチの「奏」を歌ったものの、しょっぱなはいきなり「プリーズ・ミスター・ポストマン」で意表を突かれました。これはビートルズやカーペンターズが歌ってヒットした曲ですが、オリジナルは黒人の女性グループのもので、名前を忘れていたので調べたら、「マーベレッツ」でした。マーベレッツとカーペンターズの歌詞では「boyfriend」となっているところが、ビートルズのものとでは「girlfriend」になっているという違いがあるのですが昨日のものはどちらだったのでしょうか。最後に歌った「デイ・ドリーム・ビリーバー」はオリジナルのモンキーズではなくタイマーズのものでした。まったくの余談ですが、原発問題の収拾の目処がつかない今、長年反原発活動をしていた忌野清志郎がまだ生きていたらきっと一騒動起こしていたのではないか、そんなことをふと考えました。
その次のミスチルの桜井和寿は二回目で、ちょうど10年ぶりだとは後で知りました。小田さんと世代は違いますが、一人での影響力という点では吉田拓郎に匹敵する大物ではないでしょうか。二人で山下達郎の「クリスマス・イブ」を歌っていましたが、さすがに山下達郎本人が来ることは今後も期待できそうにないでしょう。
さらにその次は、小田さんの母校である東北大学の混声合唱団との共演でした。周知の通り、小田さんは東北大学卒で早稲田大の大学院修了という高学歴で、しかも音楽活動をしながらと二足のわらじを履いていたのですから、そういう器用なことが大の苦手な(前述のとおり卒論があるとテレビを見る気も起こらなくなってしまう)私としては本当にうらやましい限りです。東北大の総長直々に頼まれて作ったという愛唱歌「緑の丘」は今後も歌い継がれていくのでしょうか。
最後はスキマスイッチらと同じくもうおなじみとなった松たか子とJUJUでした。今年は各ゲストのうちの誰かが他のゲストや小田さんを食うことがなく、小田さん自身の歌あり、大物ゲストとの共演あり、いつものメンバーあり、洋楽を含めてその場にいない人の歌あり、さらに東北大の学生あり、と、バランスのとれた構成で見応え十分だったと思います。小田さんももう還暦を過ぎて久しいですが、来年もこの調子で続けて欲しいものです。(ファンの間ではもはや公に愛称になっているであろう「小田さん」以外は敬称略)