鹿屋中央高校野球部の暴力事件に思う

暴力はいいぞ!!
(アミバ様は大喜び?)

Twitterを見ていたら、フォローしている人が、以下のようなつぶやきをリツイートしているのを見つけました。

こいつあんまキモい。 鹿屋中央をクズとか言うけど お前のほーがクズだろ。笑 そんなことされないよーな ことをしろよね。笑 自分自身だろ悪いの。


https://twitter.com/0318Asukappi/status/528783860390060033

見るに耐えないものですがなんのことなのかと気になって調べてみますと、今年度の甲子園大会に出場した、鹿児島の鹿屋中央高校の野球部で上級生から下級生への暴力があり、部員が退学するような事態が起こったことを知りました。

夏の甲子園出場、野球部の2年生が1年生に暴力(読売新聞、2014年11月3日閲覧)

先ほどのツイッターによりますと、被害者は蹴る殴るなど様々な暴力を受けたにもかかわらず、鹿屋中央高校側は平手打ちとお尻をけったことしか認めず憤っているようです。(この文書自体の出典は不明)
それに対して自称元主将らが「暴力を振るわれる方が悪い」などと心ない暴言を吐いて、被害者をさらに追い詰めているのです。一体、家庭、学校で今までどのような教育を受けて育ってきたのかと、あきれ果てて言葉も出ません。

たとえどんな落ち度があろうとも、暴力的な指導はいかなる面においても悪影響しか及ぼさず、断じて肯定できるものではありません。まして被害者を罵倒するようなことは言語道断であります。

私は、こういう運動部で一部の部員が不祥事を起こして、部員全員が連帯責任を問われて試合に出場できなくなったり、練習を自粛するような処罰をニュースで見るたびに、それはやり過ぎだと考えていますが、クラブを統制する立場の元主将がこんな体たらくなのですから、一部の人間が暴走したという話ではなく、部全体に暴力を肯定する風潮があったとしか考えられません。さらに、すでに9月に、野球部の副部長が、部員が昼食を食べ残したからというわけのわからない理由で、ホワイトボード用の磁石を投げつけて、部員に縫うほどの怪我を負わせるという事件があったこともわかりました。

鹿屋中央高野球部 副部長謹慎処分に 部員に暴力 [鹿児島県](スポーツニッポン、2014年11月3日閲覧)

まだ十代の生徒ではなく、30にもなった副部長までもが、このような物を使った理不尽な暴力を行っているのです。このような部では、下に書きますように、暴力が上から下へと連鎖していくのは必然の流れといえるでしょう。それだけでなく、2007年にはバレーボール部でも体罰問題があったことが取り上げられています。ですからもはや、部どころか、鹿屋中央高校そのものが、体罰、暴力を看過、隠蔽するどころかそれを奨励するような考えをもっていたと思われても仕方がありません。ホームページ上では華々しく、「全国大会出場」などの文字が踊っている裏ではこのような陰湿極まりない暴力が行われていたわけです。鹿屋中央高校は氷山の一角で、こういうことを隠れて行っている学校は全国にいくらでもあるのではないでしょうか。

ところで、私は鹿児島にいたとき、プロ格闘家が指導する道場に通っていたことがありますが、指導者も兄弟子も、おおよそ理不尽な根性論や野蛮な暴力とは程遠い、選手としての実力もさることながら、若輩の私にも大変丁寧に接して下さって、人間的に尊敬できる方ばかりでした。もっとも暴力に近い格闘技においても、競技における強さと暴力的指導はなんら必然的なつながりを持ち得るものではありません。私は常々、スポーツ、武道の効用に精神修養や人間性の向上を掲げるような人には懐疑的です。もしそうならオリンピックでメダルを取ったような人が逮捕されるようなことは起こりえないでしょう。いい加減指導者側もそういう幻想は捨てるべきだと思います。

どこかの国の首都の知事を務めていたらしい輩も含めて、世の中には体罰が教育的な意義を持つから積極的に体罰を取り入れなければならないなどという珍説を唱えている人たちがいるそうですが、科学的になんの根拠もなく、おおよそ健全な精神をもった人間には到底理解できない考えです。なにより、そんな教育的意義を持つらしい体罰を受けて育った生徒が、卒業してもチンピラまがいの、なんの思いやりもないことを言っている、人間的に幼稚な人物であること自体が、体罰肯定論が妄想にすぎないことの証左でしょう。

おそらく彼らのような人がそのようなことを言うのは、もともとそういう性格だというのもあるかもしれませんが、自分も体罰を受けて、それに耐えぬいてきたため、暴力を告発するような人が現れると、自分のそれまでの人生が否定されるように感じるのと、そうはいってもやはり理不尽な暴力を受ければ鬱憤は蓄積されていくわけですから、それを自分より弱い者、立場が下の者をはけ口にして晴らさないと精神がもたないように歪められてしまったという側面もあるのではないでしょうか。そうして暴力は世代から世代へとどんどん連鎖していくのだと思います。そういう意味では彼らも被害者なのかもしれません。ですから、生徒たち個人の心の問題ではなく、教育現場そのものの構造の歪みといえる問題だといえるでしょう。

鹿屋中央高校の部長は、今回の事件を県高野連へ報告をしていなかったことについて「被害生徒のケアや今後の相談を優先していたため対応が遅れた。近く報告する」などと話しているということですが、先ほどのTwitterでの被害者の声を見る限りでは嘘にすぎず、実際は隠蔽しようとしていたと受け取られても仕方がありません。この部長だけでなく、学校の他の関係者の責任をも問うて、学校全体が暴力と決別することを表明するくらいの気概がなければ、単なるとかげの尻尾切りにすぎず、なんの解決もならないでしょう。

鹿屋にはこの前観光で行ってきたばかりですし、友人も住んでいて、大学時代には鹿児島市からフェリーと桜島経由でサイクリングをしたりして、鹿屋中央公園でたくさんのうさぎたちと雨宿りしたりと思い入れのある街です。それだけに、こんな形で全国的に取り上げられるのは残念です。

鹿屋中央高校野球部の暴力事件に思う” に対して2件のコメントがあります。

  1. しんぺい より:

    母や父方の祖母が大隅の出身で、やっと念願の初出場だったのでテレビで応援し初戦突破した時は感動しました。しかし、不祥事が次々に発覚してガッカリと言うか監督にも失望しました。不祥事ばかり続くようではまた有望選手は市内に流れてしまいますよ。

  2. 管理人(鴉) より:

    コメントありがとうございます。本当に私も同じような思いです。

    生徒も教員も含め、これだけの問題を起こしながらも目が覚めない人たちが多いのが怖いところです。もうこんなことをやっている野球部はいっそ潰れてしまったほうが社会のためだと思います。

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