荒唐無稽な「長岡式酵素玄米」

ひょんなことから某所で、長岡式酵素玄米なるものを広めている人の「講習会」に出席しました。知人がその長岡式酵素玄米と調理道具一式を購入して、それを売った人がその「講習会」を開きに来たのですが、疑似科学とオカルトのオンパレードのひどいもので、売った人買った人双方の良識を疑いました。

長岡式というのは圧力鍋(お約束どおり、決まった圧力鍋でないと正しい炊き方ではないそうで)で玄米と小豆その他を炊く方法のようですが、いちいち新興宗教やスピリチュアリズムのような説明がなされています。たとえば、炊く前に手で玄米を研ぐと、悪いエネルギーが玄米に入ってしまうから、泡立て器で溶かなければならないそうで、炊飯中には「命」が生まれ、ゲルマニウムも発生するのだそうです。

自分でも一体何を書いているのかよくわかりませんが、21世紀の日本で中世の錬金術師のような荒唐無稽なことをのたまう講習会を開いた長岡式の宣教師とでも言うべき男は、この酵素玄米を食べるようになってからアトピーが治ったらしく(もちろん本当の因果関係は不明)、これと味噌汁を食べておけば必要な栄養を補うことができ、他の食事を摂らなくても生活できているのだそうです。自分でも認めていましたが、自分に長岡式を勧めた人から教えられたことを何の疑いなく延々とそのまま話しているようで、完全に思考停止した新興宗教の信者かロボットのようでした。目が異常に澄んでいて、顔はこちらを向いているにもかかわらずどこか遠くを見ているようで、オウム真理教の幹部を思い起こさせました。オウムに限らず新興宗教の信者やオカルトに傾倒した者に典型的な表情をしていました。

他にも、食品添加物は危険だとか(国の検査をなめていますし、本当にそうならすでに健康被害が続出しているでしょう)、医者が薬を減らさないのは製薬会社が薬を売らんがためだ(研究データに基づいていない不確実な治療をやりたがらないだけでしょう)などありきたりの陰謀論の話もありました。

さらに、長岡式でお米を炊く際には塩が使われるのですが、研究者によると「塩化ナトリウムは体に悪い」などと言っていて、教養以前のあまりの無知蒙昧さに失笑しそうになりました。塩化ナトリウムが入っていない塩(「えん」ではなく「しお」ですので念のため)はないし、塩化ナトリウムだけしか含まれていない食塩を買う人はいるんでしょうか。おいしくないでしょうしそもそもスーパーなどで売っているのは見たことがありません。嫌味がてら、「先程から研究者、専門家と言っていますがそれはどういう人なのですか?」と尋ねたら、「全国で塩を売っている人で…」というのです。どう考えてもそれは研究者と言わんやろうと。知人がいなければ「あんたはアホか」と口走っていたかもしれませんが、憤り以上に哀れみを感じました。

売る方も売る方なら、こんな胡散臭いものを高いお金を出して買う知人も知人(もう50代の夫婦です)で、一体なぜこんなものを疑わずに売る人、買う人が現れるのか疑問です。知人のうち夫の方は肥満や糖尿病(当然2型)の傾向があり、それを心配した妻のほうが、講習会を開いた男の、やはり長岡式を信じ切っている父親と面識があったため採り入れることにしたそうですが、たとえいかに健康に良いとしても何杯もバクバク食べれば同じことで、食事の量を減らして日常的に適度な運動をするなど生活習慣を正さなければ肥満も糖尿病も改善されるはずもありません。本末転倒もいいところです。それどころかこの長岡式は塩を使うため、生活習慣病が改善されるどころか、血圧が高い人はかえって危険だと思います。結局楽をしようとするから安易な方法に頼ろうとするのだと思いましたが、いくら楽をしたくても、最低限の教養と常識さえあればこんないかがわしいものに飛びつく理由はありません。『買ってはいけない』がベストセラーになった頃から何も変わっていないではないかとあまりの無知蒙昧さに呆れました。

ところで少々調べてみたところ興味深いことに、この長岡式の「教祖」のような活動をしている新井郭之という人物の対談のページによると、彼はGLAの開祖、高橋信次と関係があることがわかりました。
https://joyhealing.or.jp/talk/201802/
まるで新興宗教のようだと書きましたが、実際に新興宗教そのものの落とし子だったのです。対談内容は放射線が消える(ママ)などの疑似科学に満ちていてとても読むに堪えないものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください