発達障害者を食い物にする似非専門家についての注意喚起

発達障害と診断された複数の知人が、吉濱ツトムなる人物をTwitterでフォローしていて、まれに私のタイムラインにも彼らのリツイートが表示されることがあります。ですがこの吉濱ツトム氏は発達障害についての専門的な素養を持った人でもなんでもなく、主張は科学的根拠を欠いている以前に独断的で反社会性すら見られ、発達障害で苦しんでいる人がこのような人物に関わるとむしろ悪化しかねないことについて注意喚起しておきます。

吉濱ツトム氏は発達障害の専門家のような顔をして発達障害カウンセラーを自称していますが、精神医学や心理学を大学(院)で学んだわけでも、そのような教育を受けた人から監修を受けているわけでもありません。

科学的根拠を欠いているばかりか、以下のようにスピリチュアル的なオカルトを信奉していると思しき発言もしています。

今年の6月末以降から東京都内においても、視覚化された形でのUFOの飛来発見が増えていく。
渋谷や新宿で、多くの人が同時に目撃する事態も起こる。

(中略)

アセンションは、3~400年後のこと。(波動が大きな変化を起こしているのは事実だが。)
世界は、今後も「より良く」なっていく。(昔は良かったと、寝言を吐く人が多いけど、あれは嘘。世界は年々良くなっているんよ。それはまた今度ね。)
地球外生命体による地球の侵略もない。

UFOについて | 吉濱ツトム公式ブログ「未来への思考法」
今年の6月末以降から東京都内においても、視覚化された形でのUFOの飛来発見が増えていく。 渋谷や新宿で、多くの人が同時に目撃する事態も起こる。 ・スピリチュアル世界の住人の多くは、懲りもせずに「地球がアセンションを迎える」 ・その分野に興味や知識のない人たちは、「不吉な予兆かもしれない」 と、共に騒ぎ立てることにな...

(2019年8月31日閲覧)

この文章だけ読めば、おおよそ健全な常識を持った人からすると妄想や狂信を垂れ流しているに過ぎないと感じるかと思います。

さらに、共著で『日本は二度死ぬ! サイキックドライビング【催眠的操作】の中のNIPPON 二度目の《蘇り覚醒》のための核心の情報群!』なる本も出版していますが、タイトルだけでいかれている、到底まともな内容ではないのは見て取れると思いますし、共著者の船瀬俊介や、ベンジャミン・フルフォードらはオカルト的な陰謀論の本を多数出版している(それで金儲けをしていると思われる)輩です。ヒカルランド自体そのような本ばかりだしている出版社で、良心のある人、まして心という繊細なものを扱う専門家ならまず関わろうとしないでしょう。自分の社会的信用を失墜させるだけだからです。

また、この人物に限らず、臨床心理士や公認心理師のように心理学の訓練を積んだわけではない自称専門家の素人によるカウンセリングは、誤ったアドバイスによって抱えている問題が更に悪化するなどしかねず非常に危険です。特に社会生活が困難になるような障害を抱えた人が対象なら尚更ですし、超常現象を臆面もなく肯定している人と関わることによって、社会とさらに軋轢が生じ、断絶してしまうおそれさえあります。

「カウンセリング」だけでなく、炭水化物を一切摂取しないなど、やはり科学的根拠を欠いた食事療法も行っているようで、心だけでなく身体の健康も損ねる危険もあります。(以前批判した、「長岡式酵素玄米」を勧めていた人と言っていることがそっくりの陰謀論です)直接の引用ではなく孫引きですが、ラーメンのスープは健康に良いなどという生活習慣病患者の屁理屈のようなことも書いているようです。(2018年2月23日のツイートが元らしい)

他にも、同じページには、「多動傾向発達ADHD女子[ママ]は一匹狼的な行動を・気楽だから・楽しいからという理由で選択しているにすぎない」(2018年3月14日ツイート)などというツイートをキャプチャした画像が貼られていますが、一体何を根拠にそのようなことを述べているのか不明です。実のところ、私自身も専門の精神科医のもとでIQテストを受けるなどした結果、広汎性発達障害の疑いがあると診断されたことのある人間なのですが、そもそもADHDの女子が一匹狼のように振る舞うなどという話も、少なくとも医師等の専門家が書いた発達障害の本で読んだことがありません。「思考停止の定型発達」(2018年3月22日ツイート)などという文言もありましたが、これも単に非発達障害者への敵意を煽動するだけのひどい偏見に基づいた発言です。そういう人たちと社会で共生することがカウンセリングの本来の目的ではないのでしょうか。

万事がこの調子の独断と偏見に基づいた扇情的な文句にあふれていて、まるで軽薄な自己啓発書を読んでいるような感覚になり、やはり発達障害に対する適切な知識を持っているのかどうか極めて疑わしいです。

吉濱氏は自身も強い発達障害や劣等感に苦しんだと称していますが、本当に医師に発達障害であると診断されたのかどうかも疑わしいです。(私の少ない読書経験からするとむしろパーソナリティ障害ではないかと感じる。上の「思考停止の~」のくだりからは、被害妄想じみた強い劣等感は確かに感じられる)

吉濱氏は、「大半の人が、
・他人の勝手な思いつき
・部分的にしか捉えていない
・そもそも、根本から間違った
方法を、懸命にこなし
・悪化
・改善しないがゆえの絶望
へ、陥っている実状を知る。」などと書いていますが、標準的な医療によるケアを受けるのではなく、このような人物を頼りにするとまさにそのとおりになりかねませんし、別の問題も生じかねる危険さえあります。

発達障害の人がこういう人に近づくのは、病気の人が医者ではなく呪術師のもとに行くようなものです。たとえ医者や専門的な教育を受けたカウンセラーのもとで満たされなかったとしても、自分の精神をこんな人にお金を払って扱わせて良いのでしょうか。

ターゲットが発達障害を抱えている人に限らず、特に理性的な判断ができず苦しんでいる人に対し、さもその苦しみを受容し、共感するような顔を向けて、自分を教祖のように祀り上げさせたり、さらにはお金や時間などをむしり取る人たちは往々にして存在しますし、非常に悪質です。それ以前にそもそも恐ろしいのは、そのような人の中にはやっていること自体は反社会的であるのに、詐欺師などとは違ってその自覚がない人が見られることです。良心が欠如しているといって良いでしょう。ある意味ではそういう人が一番病理的なのですが、なにしろ自覚がないのでは取り付く島がありません。

なぜ正体不明のいかがわしい人物の発言に共感する人が少なくないのか疑問ではありますが、さも自分の苦しみを理解してくれるような良心的な顔をしている(少なくとも私からするといかがわしさしか感じませんが)ことの他には、血液型診断と同じで、バーナム効果によるものかもしれません。

面白おかしくて数が稼げれば良いと考えているもともと信憑性が低いメディアだと思われるAbemaTIMESはともかく、大手書店であるはずの紀伊國屋書店も著書を好意的に取り上げていて(これが「医書」?)、よく吟味せずにこのような人物を安易に宣伝する人たちのモラルやメディアリテラシーも問われます。

私個人からするとあまりにも馬鹿馬鹿しくて相手にする価値もない人物で、こういう手合いは取り上げないのに限る(絡まれると面倒だし宣伝になってしまうから)のですが、吉濱ツトム氏はツイッターで多数のフォロワーが存在し、上のようなメディアで取り上げられるなど社会的影響力もあるようですし、知人も含めてひっかかる人が現れないように注意の意味で書きました。

(2020年2月6日追記)発達障害と診断された知人と接していると、彼らは社会に対する劣等感に基づいたある種の怨み(ルサンチマン)を強く抱いているのではないかと感じることがあります。吉濱ツトムのような私からすれば明らかにいかがわしい発言ばかりする輩に人が群がるのも、上でも触れたように彼がそのような鬱屈とした感情を代弁してくれているように感じるからかもしれません。しかし当然のことながら偽の専門家に慰められたり、そのような人物の発言を用いて自己正当化したところで人生における問題の解決には何らならないことはよく考え直すべきでしょう。人の弱みに付け込むカルト宗教を信じる人たちと構造は同じだと思います。

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