支離滅裂なグリーンコープの「共生・平和長崎自転車隊」

私は以前から住んでいる地域の生協を利用しており、現在の住まいから最寄り(といっても自転車で30分はかかる距離ですが)の店舗がある生協がグリーンコープなのですが、そもそも商品が高額ですし、独善的な主張が目立ち、自分自身が到底関わりたくないばかりでなく、加入を検討している方も注意したほうが良いと思っています。

グリーンコープは環境保護や平和運動などを推進しています。それ自体は他の生協も掲げていて、私自身生協を利用している理由の一つなのですが、グリーンコープのものはかなり先鋭的なようです。

たとえば、「共生・平和長崎自転車隊」などと称して、炎天下の中何十キロも、政治的、道徳的な理念のもとに、まだ小学生くらいの子供を8月の暑い中に自転車で走らせるような、まるで学校で現在問題視されているような旧態然の体育会系部活動や組体操などと同じような発想の意味不明なことも行っているようです。趣意書によれば、

「自転車は、歩くことの次に身近な世界を広げていく、自然を傷つけない乗りものです。車社会(工業化社会=モノ中心社会)の便利な時代だからこそ、長崎へ平和を願って自転車で走ることは、どのような生き方や暮らし方をするのか、それを問い、見直す契機になると思います。

車社会に奪われた地域を自分たちの手で取り戻していくための、私たちの意思表示でもあります。次の時代を担う子どもたちに自分の生き方・関わり方を、体力をふり絞って、誠心誠意伝えていくことが重要です。

そして更に、子どもたちが本来有している力を発揮して生きていけるように、しっかりとした体と知恵とやさしさをもつことができるように、自己と他を相対化しながら集団として包み込んでいけるように、自転車隊を支えることで、おとなたちが「本気で日常を築いていこう」と決意を新たにすることでもあります。

誰の目にも明らかな自然・環境の危機の時代を迎えています。「遠くは電車で、近くは自転車で」、そのような時代をつくる責任がおとなたちにもあることを、しっかりと見据えておく必要があります。」

とのことですが、単なる現代社会への情緒的な反動であることは論を待ちません。

およそ想像力の欠如した発想ですが、たとえば一点指摘すると「遠くは電車で、近くは自転車で」などと言うなら、柳川から長崎まで自転車で走る必要はなく主張が破綻しています。ちなみに私はそれこそ車を持っておらず、移動手段は自転車か電車しかない人間なのですが、125kmというのはいわゆるスポーツバイクを持っていて日常的に運動をしている私からしてもきつい距離です。いや、グリーンコープからすると125kmというのは「近く」なのでしょうか?当たり前ですが子どもは全行程を走るわけではないようで、残りの行程は車社会の産物である大きなバスで、排ガスを撒き散らしながら移動するそうです。しかもその「応援バス」は5台もあるそうです。遠くに行くには電車を使うのが大人の責任ではなかったんでしょうか?

他にも、自転車とて工業製品だとか、「車社会に奪われた地域」とはなんなのかとか、福岡県に限っても自宅から駅までが遠かったりと車がないと生活困難な人なんていくらでもいるだろうのにとか突っ込みどころ満載です。

強制ではないといえ、子供を大人の政治活動のために利用して熱中症などの危険にまで晒すのだとしたらそれは体罰まがいだと思いますし、そもそも自転車の利用を促したいなら、専用レーンの設置など、自転車が安全、快適に走れるような環境を整備するように行政などに働きかけるべきです。グリーンコープの主張は、実はこの手の団体や活動家が批判しているであろう根性論や自己責任論そのものです。ただ平和学習のための遠足として長崎まで行くというのならなんら批判されるようなことではないのですが、おかしな理念を掲げて屁理屈で粉飾しようとするから独善的になるのです。

この「共生・平和長崎自転車隊」は、グリーンコープの環境や平和に対する考え方や取り組み方をよく表していると思います。

知人にもグリーンコープを利用している人がいますが(荒唐無稽な長岡式酵素玄米を始めてしまったのと同じ人)、こういう思慮を欠いたふんわりとした「自然派」志向にまんまとひっかかる人が多いのでしょうか。(『買ってはいけない』を真に受けるような層とかぶりそう)

ところで、なぜグリーンコープを話題に出したのかといいますと、グリーンコープは福島民友新聞を名誉毀損で訴えたと以前読んだことがあり、訴訟は昨年の4月に起こされ、すでに1年半近く経っているにもかかわらず、その後判決がどうなったのか知りたくて調べていたからですが情報が全然出てきません。もし勝訴したら双方鬼の首を取ったように発表しそうなものですから、まだ係争中ということなのでしょうか。

https://law-news.idest.club/2018/01/25/greencoop/

https://law-news.idest.club/2018/04/25/post-1937/

果たしてどちらの主張が正しいのかわかりませんが、このような左翼的な活動家団体にありがちな、平和運動を掲げる一方で好戦的な人たちだと思いました。

(2022年2月26日追記)裁判は地裁、高裁判決ともにグリーンコープの勝訴になったようです。
福島民友に高裁も賠償命令 名誉毀損、一審より減額(産経ニュース)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください