「フィンランドに留学して感じる日本への違和感」というツイートを見て

ツイッターは相変わらずしょうもないツイートがタイムラインに流れてきて最近では極力見ないようにしているのですが、今日もまた首をかしげるようなものがリツイートされているのを見つけてしまいました。

とはいってもツイートそのものはありがちで大したものではなく、フィンランドに短期留学した学生が「【フィンランドに留学して感じる日本への違和感】」と銘打ってあれこれ書き出したスライドのようなものの画像を貼ったものです。

ツイートした人は九州大学の院生だそうですが、特に気になった一例を挙げますと、九大って少なくとも2013年の時点で箱崎キャンパスにはハラールの認証を受けた食べ物を売っているお店がありましたし、現在の伊都キャンパスにもちゃんと存在しているようです。それにもかかわらず、「ほとんど日本にいるときは知らなかった」などと書けば、4年以上いて一体何を見ていたのかなどと批判されても仕方がないでしょう。また、ヴィーガンをイスラム教徒の人たちと同列に扱うべきなのか(そういう発想の時点でヴィーガンが理性的な信念に基づいたものではなく宗教的であるのを暗示しているのではないでしょうか)も疑問です。

他にも、大学での学び直しについても、私の卒業した大学でさえ、あくまでごく少数ですが、生涯学習として一緒に講義を受けていた人も男女ともにいました。(ケーキを下さるなどかわいがっていただきました)まして九大ならもっといてもおかしくないでしょう。ただし、私のいた大学ではあくまでそのような人は定年後の人たちで(20代後半から学生として入学した人はいた)、確かに大学にせよ勉強には一度卒業して就職したらそれでおしまいという考えが強いのかもしれないとしても、そもそも流布している価値観というよりは、働いたり家事をしたりしながらそのようなことをする時間もお金もないことのほうが根本的な問題なのではないでしょうか。(それでも退路を断ってなら修士合わせて4回大学を出た50代の知人もいますし、働きながら資格をとったりしてキャリアアップに努めている人だっていることはいますよ)

ただし、私は今回初めて知りましたが、このツイートをした人物が在籍している九州大学大学院芸術工学府は、もともと九州芸術工科大学として独立していた大学で(2003年に九大と統合)、キャンパスは大橋なるところにあるらしく、ご本人は箱崎や伊都の環境には馴染みがないのかもしれません。

いずれにせよ、やはり、ご自身が日本にいたときにあまりに盲だったことを、日本の社会全体が抱えている問題に責任転嫁している点も多々あるのではないかという疑惑が湧いてきます。大海を知るのも大切ですが、井戸の中の限界をちゃんと見定めるのも必要なことではないでしょうか。

とはいえ、よくいる「出羽守」などと揶揄されている、盲目的に海外(特に欧米)の文化を礼賛して日本社会について論うプロの人たちとは違い(私も西洋関係が一応専攻でしたから、どうしてもそういう誘惑に駆られがちになるのはよくわかりますが。現状なんとか戻ってこれてはいます)、今回のツイートは別に政治的活動とは無関係の単なる勤勉な学生によるなんら悪意のないもののようです。まあきっと、育ちが良く、純粋な優等生なんでしょう。ちなみにイギリス人の教員が言っていましたが、フィンランド語は同じ西洋人でゲルマン系の母語の彼からしても非常に難しいそうです。(余談ですがアメリカでドクターを取っていて、あちらでの教育を礼賛しているように見えた教員もいました。紀要論文か対談かなにかで案の定、日本にそのまま適応できるのか疑問だと突っ込まれていた記憶がありますが、当然でしょう)

現時点ではこのツイートは1.1万以上のリツイート、3.2万以上の「いいね」をされていますが、それよりも毎度毎度不思議なのが、なぜこの程度のありがちなツイートがそんなに広がるのかということです。まあ、私も突っ込みどころが満載だと感じてこの文章を書いたついでにリツイートした一人ではあるのですが、日本社会の現状に不満があるあまり(それ自体はなんら否定すべきことではないと思います)、「いいね」については、カバの妖怪、じゃなかった妖精がいるようなユートピアを求める人達の琴線に触れたんでしょうか。

(追記)周辺のツイートもざっと見ましたが、この善良な青年の素朴な感性を摘み取るようなことはすべきでないとは思っていますので念のため。

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