Amazonのカスタマー「レビュー」に対する勘違い
Amazonを見ていると、時折、「レビュー」の意味がわかっていないと思しきカスタマーレビューを目にします。「ちゃんと本が届きました。ありがとうございます」、「商品の状態が良く、満足しています」などという、商品の内容ではなく、取引内容の感想や、商品の状態に対する評価(?)を書いている人を少なからず見かけるのです。言うまでもなく、レビューとは本来、書評という意味です。もっとも、こういう人たちはレビューの意味がわかっていない以前に、カスタマーレビュー欄の役割を勘違いしているのでしょう。
もう一つ目につくのは、レビューの要件を満たしている文章、少なくとも私からするとよいレビューと思える文章にもかかわらず、その人の立場が気に入らないから、自分の考えと違うからと思しき感情的な理由で「参考にならなかった」という票が多数入っているレビューです。特に、ネット右翼や陰謀論関連の本でよく見かけます。(いつぞやの花王バッシングのように、悪意を持って組織的にデマのレビューを乱発し、「いいえ」の票を入れるような行為は論外です)
そういう人たちもレビューというものがわかっていない気がしてなりません。レビューのよい悪いというのは、どのような結論であっても、内容をよく理解し、かつ吟味してそれを論理的に、わかりやすく読む人に伝えることができているかに左右されるものではないでしょうか。自分の考えとは違っても、レビューとしての内容が十分であれば、それは「参考になった」というに値するものでしょう。
さらには、やはり本の内容が気に入らないという理由で感情的に☆一つをつけている「レビュー」も目につきます。一旦自分の立場は留保して、冷静に物事を検討できない人が多い証拠なのではないかと思います。特にわれわれ日本人はそのような批判的な分析が苦手なイメージがありますが、実際に日本人特有の現象なのでしょうか。アメリカのAmazon.comのレビューと比較してみると面白いかもしれません。少なくとも私が過去に調べたものでは、どういう評価であれ、トップに載っているレビューは説得力のあるものが多かった記憶がありますし、コメント欄では生産的な意見交換が行われていたのですが、日本のAmazonでそのような有意義なコミュニケーションが行われているのを見ることは稀です。