タレントの死に便乗する人々

私は全く知らないタレントだかプロレスラーだかが死んで連日ニュースを賑わしているらしい。

出演していたという「リアリティ番組」は名前しか聞いたことがないが少し調べた限りでは昔からある低俗極まりないものだろう。台本つきの「やらせ」なのだろうがそれは認めないだろう。プロレスラーといえばプロレスも今でこそ筋書きのあるショーであることが公然の秘密にはなっていると思うが、それもショーであると興行を行う側が公式に認めているわけではあるまい。そうである以上は過激な内容を真に受けて過激な反応をする「素朴な」者が現れてもおかしくはない。煽る側の責任は問われないのか。

特に親しかったわけでもないのにこぞって追悼をする著名人たち。良い機会だと考えたのか自分たちも誹謗中傷の被害者であると訴える。そもそも彼らが言う誹謗中傷とは一体何なのか。「アホボケカス」の罵詈雑言の類や、明らかに事実ではないデマに基づいた非難を指すのか。いずれにせよ自分たちは誘発するようなことはしていないのか。いい加減、虚飾だらけの世界に引導が渡されるべきではないのか。もっとも良くも悪くも無責任な大衆によって成り立っているのが社会なら簡単なことではあるまいが、虚飾を求める側と、それに応える側、どちらが捨て去るのが容易だろうか。少なくとも求める側は不特定多数で顔がなく、いくら殺そうが次から次に現れることは確かだ。

私が子供の頃も、「愛する二人別れる二人」なる「リアリティ」番組が打ち切られたことがあった。これも出演者が自殺したらしい。出演者に罵声を浴びせていたレギュラー陣のタレントは今でもピンピンしている。

オウム真理教事件が起こって、一時期は霊能者が登場する番組が下火になったと思ったら、ほとぼりが冷めた頃に霊感商法まがいの俗悪な番組がいくつも放送されてお茶の間の人気を博した。それと同じようなこと。持ちつ持たれつの関係が続く限り何も変わらないのだろう。20年経っても同じことを繰り返している。大衆が過激で「リアル」なものを求める限り視聴率が取れるから。

政府は通信の秘密を侵しかねないような制度改正を進めるつもりらしい。これまでの言行からすると以前からやりたかったことを好機と乗じただけだろう。

そもそも誹謗中傷を受けていたことや自殺したことは事実であると「思われる」が、自殺したと公表されてさえいないのに、誹謗中傷を受けたために自殺したという因果関係が客観的に正しいことが前提にしてマスメディアを含めて話が進められている。遺族感情はどこにあるのか。結局ここでも、真実かどうかわからない曖昧さが何も問題にされないままただなんとなく肯定されている。

人の死を自分の欲望を満たすために消費するのは醜悪極まりない。悲惨だ。

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