ハイ・ベックゼロで普段着とおしゃれ着を洗濯した感想

私は洋服が好きなのですが、いわゆるおしゃれなブランドの服は、水洗いができずにドライクリーニング指定のものが多く、頻繁に着ようものなら高額な維持費がかかってしまいます。特に、レーヨンは水に縮みやすく、エマールなどの市販のおしゃれ着洗剤で水洗いするのは怖くてできません。神経質で、洋服はできるだけ長く着たいと思っている人間ならなおのことです。ですが一か八か思い切って、ドライ指定の衣類も水洗いできるという触れ込みの、「エマール」などよりも高額な洗剤を探して買ってみました。

買った洗剤は「ハイ・ベック」で、同じような「ドライニング」とどちらにしようか随分迷いました。「ドライニング」は以前使ったことがあり(引越し前に置いてきてしまいました)、裏地がポリエステルのウールのスラックスを洗ったことがありますが特に縮んだり形が崩れたりしたことはありませんでしたが、ドライ溶剤を使っていることと、この手の商品では珍しく、現在住んでいる熊本の会社のもので、公式サイトを見たら赤電話のイラストが載っていたりと旧き良き昭和の雰囲気を醸し出していて、さらに、洗剤を売るだけでなく家庭での洗濯のために役立つ商品を開発しようとしている企業姿勢に興味がわいてハイ・ベックを選びました。

ハイ・ベックの中にもいくらか種類があり、特に1100g入りでAmazonでの実売価格3690円の「ハイ・ベックゼロ」の他に、より仕上がりが良いらしくphが中性で価格は6000円以上するプレミアムと迷いましたが、まずは安く、使い切っても詰め替えられる「ゼロ」にすることにしました。

東急ハンズあたりにないかと思って熊本駅に行ったついでに探してみましたが、ドライニングや他の類似品は置いてあったのに、地元の企業のハイ・ベックは置いておらず、結局Amazonで注文しました。

洗濯用の洗剤にしては高額に思えますが、ドライクリーニング代が浮くことと、しかも一回での使用量は少ないことを考えるとそうでもないでしょう。ただし、一回で水30Lに対して付属スプーン一杯の10gと大変リーズナブルなのですが、1100gは独り身には量が多すぎ、開封後は製造年月日から2年を目安に使い切ってほしいということで、一週間に一回くらい、16Lのたらいで手洗いするくらいのペースでは期限内に到底使いきれません。新型コロナのせいでめかしこんで出かける機会も減ってしまった今はなおさらのことです。届いたハイ・ベックゼロの底を見ると、202101などと書いてあり、そこから2年ですと実質残り1年余りしかないということになります。

そこで、普段着の洗濯にも使ってみればよいのではないかと思い、洗濯機に洗剤を溶かしいれ、洗い時間は3分(5分くらいがいいらしい)、すすぎ一回、脱水は1分か3分かにして普通の洗濯コースで洗ってみました。洗濯にかかった時間は20分足らずと、普段よりも大幅に早く終わりました。仕上がりの方は特に不満はなく、柔軟剤を入れていないのにふわふわとしていました。洗いたては確かにドライクリーニングの溶剤っぽい匂いが少ししましたが、実家がクリーニング業(いよいよ今年中に廃業か事業継承するらしい)の人間としては慣れきった匂いですし、乾くと消えてなくなりました。

しかし、ドライニングのサイトには、ドライ禁止マークのものには使えないと書いてあるのに、洗濯物を干してからラベルを見てみると、普段着にしているユニクロの衣類はほとんどことごとく、水洗いのみ可でドライ禁止マークがついていることに気づきました。ですが、同じ綿100%でも高額なブランドのもののデザインの凝った服は、逆に水洗い不可でドライクリーニングのみ可になっているのです。常識的に考えて、ドライクリーニングできないというのは理にかなっていません。ドライクリーニングどころか、かつて私は自転車で旅をしていた時、数日おきにプリントTシャツをコインランドリーでタンブラー乾燥させていましたが、プリントが剥離することもなく普通に最後まで着ていました。

ところで、サンワードのハイ・ベックの公式サイトには、「お客様相談室」があると書いてあり、使い方について詳しく知りたいと思って電話してみました。電話番号は「ハイ・ベック」の「お客様相談室」でしたが、電話に出た女性は「サンワードです」と名乗っていたので、どうも実際はお客様相談室用にスタッフが置かれているわけでもなさそうです。それでもやや挙動不審気味だった私の質問も丁寧に答えてもらえました。ハイ・ベックはドライ溶剤を含んでいるとはいえ、あくまで水に溶かして洗うものなので、水洗いができるものはドライ不可のマークがついていてもやはり洗って問題ないそうです。洗濯機で洗う場合は、洗いが5分、すすぎ1回、脱水は一番短い設定を勧められました。

レーヨンやキュプラの洗い方(手洗いを想定して)についても質問しましたが、やはりつけおき時間は通常の素材が5分から10分に対し、1、2分にするべきのようです。

一度電話を切った後、プリントTシャツについても気になったのでわざわざもう一度電話して聞いてみたところ、ハイベックを使って洗っても問題ないが、一度少量で試してみて欲しいと言われました。

とりあえず普段着もハイ・ベックで洗っても問題なさそうだということがわかって安心しました。これなら1年で使い切れるでしょう。ただ気を付けたいのは、ハイ・ベックゼロは弱アルカリ性のためか、皮膚への刺激が強いと感じました。この洗剤は液体ではなくゲル状なので、洗濯槽やたらいに入れた後にかき混ぜる必要があるのですが、特に肌が弱い方はゴム手袋をつけたほうが良いと思います。

その後、いよいよおしゃれ着用洗剤の本領発揮ということで、ヨウジヤマモトのレーヨン混紡の長袖Tシャツ(新品をセールで購入)をたらいで洗ってみました。事前に着丈(96cmくらい、長い!)と身幅と袖丈を測った上で、勧められたとおり1分くらいのつけ置いて洗ってみたら全然縮みませんでした。もっともレーヨンといってもポリエステルが46%、レーヨンが38%、綿が16%の服なので、レーヨンの比率がもっと高い服の場合は違った結果になるかもしれません。後日、ウールギャバジンのバルーンパンツや、キュプラ混紡の半袖Tシャツ、事前に一部分を濡らして試すつもりですが、レーヨンが80%くらいの長袖Tシャツも洗ってみるつもりです。

さすがに裏地がすべてすべすべツルツルのキュプラのジャケットやパンツは怖くて試す気になりません。以前、別のブランドのジャケットを着て出かけた帰りに急な雨に降られ、袖裏がシワシワになってしまったことがあります。それくらいはドライクリーニングに出そうと思います。

もっとも、身も蓋もないことを言ってしまえば、レーヨンなどを洗うときに最も恐れるであろう縮みについては、あくまで水につけることによって生じるものなので、水につける時間さえ短ければ、ハイ・ベックでなくてもエマールやドライニングでも結果は同じかもしれません。レーヨン刺繍が入ったヨウジヤマモトのシャツならエマールを使って洗濯機のおしゃれ着用コースで洗ったことがありますが、やはり特に縮みや型崩れ等はなく、案外平気なものもあるようです。洗剤で差がつくのはあくまで生地が傷まないかや、汚れ落ち、仕上がりのような気がします。それでも面白く良い商品だと思います、ハイ・ベック。このように地方でユニークな商品を作っている会社は応援する気になります。

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