キング・オブ・キングスという映画を観る

先日、知人から薦められ、イエス・キリストの生涯を描いた古い映画、「キング・オブ・キングス」のDVDを借りて観ました。1961年の作品だそうです。

3時間近くにわたる長い作品でしたが、退屈さを感じさせませんでした。聖書学的に見ればいくらでも突っ込みどころはあるかもしれませんが、文字通り王道といえるような内容で、全編格調高く、一個の作品として美しく完結されたものでした。
人の目を引くような刺激的、扇情的な映像の集まりとしてではなく、当時はまだ映画が演劇としてみなされていたことがわかりました。序曲、終曲が演奏されていたり、「インターミッション」(休憩)が挟まれていたりしたこともそれを感じさせられました。

興味深かったのは、イエスの奇跡、たとえば湖の上を歩いたとか悪霊を追い出したとかいうたぐいのものを映像ではほとんど直接的に描いていなかったことです。たとえば、イエスが病気を癒やした場面でも、奇跡で病気を癒やすイエスは描かれず、病人に手を出しのべるイエスの影が映し出され、その後に病気が癒やされて目を輝かせている人の姿のカットが映っていたかと思います。
技術的な面倒さもあったのかもしれませんが、製作者にとって、そういうことを視覚的、具体的に描いたところで、それはイエスの活動にとってあくまで枝葉のものに過ぎないと考えていたからでしょうか。だとしたら、個人的なキリスト教信仰の立場からも共感できます。神秘的な奇跡は本来的に解明されえないものです。

ともかく、先月試写会に行った「エクソダス」とはえらい違いだと思いました。CG全盛の時代で技術は飛躍的に進歩したはずなのに、50年以上前の作品のほうが確実に優れていました。本当の意味で新しいものを創りだすことは難しいことです。

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ところで、今年日本で公開された、イエス・キリストの新しい映画、「サン・オブ・ゴッド」のイエス役があまりにもイケメン過ぎると物議をかもしたようですが、この「キング・オブ・キングス」のイエス役のジェフリー・ハンターも大変な二枚目俳優でした。(青い目のイエス!)
イエスだけでなく、意外なところでは、絵画などでもいかにも悪人として描かれがちなユダ役も若くたくましい俳優でした。サロメ役の女優も、あどけなさを残しながらも妖艶さを漂わせていました。当時まだ17歳だったそうです。

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